”コロナで大変だけど...”と暫く話をしました。
夫の会社が倒産してとにかく仕事を・・・と、
求人広告でみつけた、老舗の貴金属店でした。
お茶道具売り場が希望でしたが、配属は宝石売り場。
講習会もあってすぐに、お店でした。
ノルマ制では無かったのですが、お得意様を引き継いで
もらいたい、という事でした。
仕事をし、生活費を少しでも家計に...
ただそれだけでしたね、、、
1985年頃、バブル時代の真っ只中で
私の実生活とはかなりかけ離れ、
お店は繁盛でしたし、
車でお得意様のところへも、毎日のように伺い、
宝石だけでなく当時高級品のミンク、セーブルの
毛皮等お得意様は待っていたように、
買って下さいました。
売り上げの金額が目標以上になると、
ご褒美で海外、主に香港でしたが1度行きました。
ホテルでの展示会、ディナーショーも随分同行
させて頂きました。
私は全くの主婦でしたから、
通勤も展示会への洋服にも困りました。
ホテルの宴会場
正装は、お嫁入り道具の着物で
四季毎のものがありましたが、
本当に、箪笥のこやしになりました。
まず、生地を買い通勤用の支度です。
何と言っても、お金が無かったですから、
取り敢えず制服が支給された事は嬉しかったです。
男性、女性に限らず、百人以上の方が私のお得意様でした。
◆ 宝石、そのものに執着、又宝石の魅力に価値を持つ方
◆夫が浮気をしたから、、だから○○百万の宝石が欲しい!
◆ 妻へ、又家族に残したいと、、運転出来ない身体で宝石とオリジナルの
注文品を片見分け、、その為にいらっしゃる方。
◆友人への見栄で相当の額の品物を買い、後に10分の1の金額で
買って欲しい、、そのような方もいらっしゃいました。
中にはきつい仕事をし、憂さ晴らしで身につけ、
自分が上流社会の一員になった気になる、、と
お話される方もいらっしゃいました。
正直で、なるほど、人は様々。
ですが、この方あまりにも無理難題の方で、、、
当時の専務に
「お店がお客様を選ぶという選択をしてもいいのでは?」と
相談したのですが、
「お店は、客を選べないんだよ〜」と。
まだ若かったですね、納得は出来ませんでした。
一昔前『お客様は神様です!』と流行りましたが...
お客様はお店を選べますが、
お店はお客様を選べ無いですね(苦笑)
一般的には
『誕生石だから、この宝石で揃えたい』とか
『娘、孫にも残せるから〜』と
おっしゃる方が多かったように思います。
今日は話がしたいから、と何時間も話をして帰られる方、
いくつかの宝石の手入れで来店される方もいらっしゃいます。
一見のお客様でも、ネックレス、指輪、イヤリングの洗浄や
外れた(ネックレス等)ワカン→(繋ぎの金属)
を付けたり・・・全てサービスで致しました。
お客様を通して、人は見た目でとか、男性だから、
夜のお仕事、どんな方でも、人はそれぞれの自分の道を
持って生きている事を、実感させられました。
娘が社会人になって私と距離が近くなったのは、
この仕事で経験し、私自身が社会を少し
学んだのかもしれません。